筋トレのあとのビールやハイボールは格別!でも、アルコールは筋肉を減らすかもしれないことをご存じですか? いろいろ気になる「筋トレとアルコールの関係」についてご紹介します。筋トレ直後のアルコールは筋肥大&修復をダウンさせる 筋トレによって筋肉に刺激が与えられ傷つくと、タンパク質合成にスイッチが入り、筋肥大が始まります。ところが、トレーニング直後にアルコールを飲むと、その筋肥大が抑制されてしまうという報告があります。まだはっきりしたことはわかっていませんが、その理由は3つ考えられるといわれます。理由①筋トレ後の筋肥大をダウン アルコールは、タンパク質合成の作用を制御している「エムトア(mTor)」という酵素の働きをジャマするため、筋肥大を低下させる可能性がある。筋トレ後に「アルコールと糖質を摂ったグループ」と「プロテインを摂ったグループ」の筋肉合成率を調べたところ、前者は後者より約37%も低かった(『PLOS One』より。オーストラリアの RMIT大学の調査結果)。理由②飲みすぎは筋肉合成・リカバリーに不都合 アルコールは肝臓で分解されるが、この分解に体内のアミノ酸やビタミンが優先的に使われるため、筋肉合成のためのアミノ酸やビタミンが不足してしまう。また、飲みすぎると脱水・低血糖状態になりがちで睡眠の質も低下させるので、筋肉のリカバリーもスムーズにできなくなる。理由③ 長期の飲酒はテストステロンの分泌ダウン アルコールを長期的に飲み続けると、男性ホルモンの「テストステロン」が減り、「コルチゾール」というホルモンが増加する。テストステロンは筋肉を作るときに必要なホルモンで、コルチゾールは筋肉中のタンパク質分解に働くホルモン。つまり長期的な飲酒は、筋肉作りにダブルでストップをかけるということ。アルコールだけでなく締めのラーメンもNG? アルコールを飲むと、後から急激に血糖値がダウンするため、無性にお腹がすきます。それでラーメンなどを食べたくなるのですが、これが筋肉作りにとって大打撃。睡眠中は、筋肉を作る成長ホルモンが分泌され「筋肉のゴールデンタイム」といわれます。ところが、寝る前に糖質を大量に摂ると、血糖値を下げようとしてインスリンが分泌されるため、成長ホルモンの分泌が抑制されてしまうのです。筋トレをムダにしないタイミングと量を守ろう 筋肉が作られるのは筋トレ後の1~2時間なので、その時間帯をすぎれば飲んでもOK。何時間後ならOKなのかを調べたデータはまだありませんが、6時間すぎてから飲むのが理想的という説もあります。自分のトレーニングのスケジュールに合わせて計画をたてるとよいでしょう。 そして、飲みすぎは禁物。適量を守ることが大事です。 厚生労働省による指針では「通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として、1日平均で純アルコールで20g程度である。」と定義しています。 [su_box title="純アルコール20gってどれくらい?" box_color="#C0C0C0"] ビール 中ビン1本 日本酒 1合 焼酎 100ml チュウハイ(7%) 350ml缶1本 ウィスキー ダブル1杯 ワイン ワイングラス2杯弱 [/su_box] [su_box title="高糖質の酒は避けよう!(100gあたりの糖質量)" box_color="#C0C0C0"] ビール 3.1g 白ワイン 2.0g 赤ワイン 1.5g ロゼワイン 4.0g 吟醸酒・純米酒 3.6g 本醸造酒 4.5g 純米吟醸酒 4.1g 缶酎ハイ 2.9g [/su_box] [su_box title="糖質ゼロの酒は?" box_color="#C0C0C0"] 焼酎 0g ウイスキー 0g [/su_box] (数値は日本食品標準成分表2020年版を元にしています)つまみの選び方も大事 アルコールを飲むときは、飲む前に水を飲むことを習慣にしましょう。さらに、つまみの選び方にも注意が必要です。高糖質なもの(スナック類、粉もの、麺類)は避け、高タンパク質な一品を。 また、脂質の多いつまみもNG。糖質と脂質を同時に摂ると、インスリンは両方を一緒に処理しようとするので、肝臓や脂肪細胞に脂肪がたまりやすくなります。高糖質な酒と脂っぽいつまみの組み合わせや、衣たっぷりの揚げ物などは糖質と脂質が高いので避けましょう。 おすすめは、糖質ゼロの酒に高タンパク質のつまみの組み合わせ。たとえば、ハイボールと塩味の焼き鳥、焼酎のお湯割りに枝豆などは理想的です。NG! 高糖質な酒 × 高脂質なつまみGOOD! 糖質ゼロの酒 × 高タンパク質なつまみアルコールは脂肪を増やす ここまでアルコールと筋トレの関係をご紹介してきましたが、最後に大事な注意点をご紹介します。それは「アルコールは脂肪を増やす」ということ。 トレーニングを続け、食事の糖質や脂質がオーバーしないように気をつけているのに、お腹まわりがなかなかサイズダウンしない場合、もしかしたらお酒の飲みすぎが原因かも。その理由は、3つあります。 まず、アルコールはエネルギーになりやすいため、つまみの脂質や糖質が脂肪としてたまりやすいこと。また、肝臓に脂肪がたまってしまうこと。さらに、内臓脂肪がつきやすくなるリスクもあります。どれも健康を害する原因となるので、筋トレのためだけでなく、お酒の飲みすぎには注意しましょう。1.つまみの脂質・糖質が脂肪に変わる アルコールは、飲むと体内ですばやく吸収されてエネルギーになる。しかし、このエネルギーは「エンプティカロリー(からっぽのカロリー)」とも呼ばれ、熱エネルギーとしてほとんど消えてしまう。このからっぽのエネルギー生産が優先するため、酒と一緒に食べたつまみの脂質や糖質はエネルギーになりにくくなり、脂肪となって体にたまってしまう。2.肝臓に中性脂肪が増える アルコールは、代謝されるときに肝臓で脂肪酸がたくさん放出されるため、これらが中性脂肪となって肝臓に蓄積される。放っておくと脂肪肝・動脈硬化の原因になることも。 また、適度な飲酒は善玉コレステロールを増やすので健康によいといわれるが、大量&長期の飲酒になると、逆に悪玉コレステロールを増やし始める。これが進行すると、脳血管障害、心臓疾患など重大な病気の原因につながる。3.内臓脂肪がつきやすくなる 「アルコールが筋トレに与える影響」でご紹介したように、アルコールはコルチゾールというホルモンの分泌を促す。コルチゾールは筋肉のタンパク質を分解するだけでなく、内臓脂肪を蓄積させる働きもある。内臓脂肪は、メタボリックシンドローム・生活習慣病の元凶。高血圧、糖尿病、心臓病、動脈硬化などにつながる原因になる。まとめ アルコールは、せっかく筋トレの効果を台無しにするだけでなく、健康を害する可能性もあることがわかりました。とはいえ、リラックスのために適量のアルコールを楽しみたいものです。 「夕方の一杯」を愛する人は、トレーニングの時間を朝や午前中にしてみるのもいいかもしれません。また、トレーニングの日はノンアルコールに変えてみるのもおすすめです。 くれぐれも飲みすぎに注意し、スマートにお酒とつきあっていきましょう!