
坂本圭子(さかもと けいこ)
管理栄養士、フードスペシャリスト
ダイエット中の食事は栄養不足になりがちですが、健康的に痩せるためには栄養素を偏りなく摂ることが秘訣になります。また、スープにすると手軽に色々な食材を摂りやすくなりますね。スープを上手に活用できると、最終的にダイエットの手助けにもなるかもしれません。ここではダイエット中のスープのメリットやレシピなども紹介します。
目次
ダイエットスープのメリットとは?
代謝が高まる
スープは温かい飲みものなので、身体を芯から温めて代謝を高めてくれます。
というのも、温かい飲みものを摂ることによって、胃腸を温めたり、体温が上がったりして血の巡りも良くなりますよ。
例えば、体温が低い人と高い人がいた場合、体温が高い方が体内で食べたものがエネルギー燃焼されやすくなります。
したがって、適度に体温を高く保てると太りにくい身体になると言えるでしょう。
また、スープの温度帯によっても体温上昇率や維持する時間に違いがあるようです。
10代〜20代女性を対象に65℃のスープを飲んだ人と37℃の方を飲んだ人の比較研究では、65℃のスープを飲んだ人の方が早く体温が上がり、体温の高い状態を長くキープできることが分かっています。
したがって、スープではできるだけ温かい温度のものを飲むように意識することで、体温も上がります。よって、代謝が高まり痩せやすい身体になるのです。
食べすぎを防ぐ
ダイエット中は、野菜がたっぷり入ったスープを食前に飲んでいただくのがおすすめです。
なぜなら、野菜に含まれている食物繊維には糖質の吸収を抑えたり、満腹感を得られやすくする働きがあるからです。そのため、スープを飲んだ後の食べ過ぎを防ぐ役目がありますよ。
食物繊維には水溶性食物繊維や不溶性食物繊があり、それぞれ特徴が異なります。
水溶性食物繊維には、海藻、オーツ麦、果物、里芋などに多く含まれています。胃腸内をゆっくり移動するので、腹持ちが良くなります。また、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるので、食後の高血糖を予防します。
不溶性食物繊維は、野菜や豆類、きのこ、穀類などに含まれていて、胃腸内で水分を吸収して膨らみ、腸の蠕動運動を促して排便を促す働きがあります。
このように、野菜スープに異なる種類の食物繊維を組み合わせながら入れてみると、食事量も上手くコントロールしてダイエット効果も高まるでしょう。
また、食後の血糖値の急上昇を防ぐため、インスリンの分泌量が抑えられて体脂肪の合成を抑えることにもつながりますよ。
野菜がたくさん摂れる
野菜は生野菜だと身体を冷やしたり、摂取量が少なくなったりする傾向があります。しかし、スープなどにして野菜に火を通すことでカサが減って量をたくさん摂れたり、消化が良くなったり、胃腸にも負担をかけにくいメリットがあります。
例えば、ダイエット中は食事量を減らすとビタミンやミネラルなどが不足しやすくなりますので野菜から栄養素をしっかり補いましょう。
野菜には水溶性ビタミンや脂溶性ビタミンが豊富に含まれています。
水溶性ビタミンには、ビタミンCやビタミンB群(ビタミンB1.B2.B6.B12.ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン)が含まれています。
脂溶性ビタミンにはビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどが含まれています。
とくに、水溶性ビタミンは加熱したり水洗いをすることで失われやすい特徴があります。ですが、汁物にしてしまうことで、野菜から溶出したビタミンを余すことなく摂ることができます。
そのため、スープはダイエットにおいても効率的な栄養素の摂り方だと言えますよ。
ダイエットスープの注意点
たんぱく質や炭水化物が不足しないように、バランス良く
ダイエットに良いからといって、ご飯やおかずを摂らないでスープだけにしてしまうのはNGです。
その理由は、スープだけではエネルギーや栄養素が不足してしまうので、代謝の低下を招き、逆に太りやすくなってしまうからです。
というのも、ダイエットの基本は炭水化物・たんぱく質・脂質の三大栄養素がしっかり揃い、それに加えてビタミンやミネラルを補うことが重要です。
しかし、スープにこれらを全て盛り込むのはなかなか難しいのではないでしょうか。
ダイエット中のメニューとしては、ご飯、おかず、汁物のような定食メニューにスープを取り入れることがおすすめです。
汁物は、味噌汁やコンソメスープ、中華スープなど味つけを変えればバリエーションは豊富になります。
このようにすれば、栄養バランスが良くなり、スープのダイエット効果も期待できるでしょう。
塩分過多に注意
スープなどの汁物は塩分量が高くなりますので1日3食飲むことはおすすめできません。
なぜなら、塩分の摂りすぎは血圧上昇に繋がりやすいだけでなく、浮腫みなどを引き起こして体重増加も招きやすいので注意が必要です。
汁物の塩分量では、野菜スープ1杯で2.0g、味噌汁は1.5g、コーンスープ1.5g前後の塩分が含まれています。
したがって、1日3食飲んでしまうと汁物だけで3~4gの塩分を摂取してしまうことになります。これは1日の塩分目標量の半分近くを汁物で摂取してしまい、塩分摂取量が多いということになるのです。
また、厚生労働省から策定されている令和元年の国民健康・栄養調査では、日本人の1日の塩分摂取量の平均は10.1gとなっています。しかし、日本人の食事摂取基準では、1日の塩分目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満と設定されています。
このため、日本人は塩分摂取量が高い傾向にあるので、日常の食事では汁物の量が多くなったり、味付けが濃すぎたりすることがないように注意するようにしましょう。
クリーム系やポタージュには注意
ダイエットに効果的なスープの種類は、コンソメスープやトマトスープ、和風スープなどシンプルな味つけのメニューです。
その理由は、クリームスープやポタージュなどの濃厚なスープは、小麦粉やバター、植物油脂などが含まれていることが多く、糖質や脂質などが高い傾向にあるからです。
なので、スープをたくさん飲んでしまうとカロリーの摂り過ぎになってしまい、逆に太りやすくなってしまうことがあるので気をつけましょう。
例えば、トマトたっぷりのミネストローネスープなどはダイエットにもおすすめですよ。
トマトに含まれているリコピンは抗酸化作用があり、血管を丈夫にしてくれることで血液循環が良くなり、体温の上昇や代謝アップも期待できます。
また、リコピンは加熱により吸収率が高まりますので、スープで摂るのが効果的です。
したがって、スープでも高カロリーの種類もありますので、できるだけあっさりしているスープを選べると理想的ですね。
ダイエットスープレシピ
野菜ときのこの豆乳スープ
クリーム系のスープは糖質や脂質が高くなりがちですが、豆乳に替えるとバターや小麦粉などを使わずにヘルシーに仕上がりますよ。
また、野菜や豆乳に含まれているカリウムも一緒に補給できるので、体内の余分な塩分を排出してくれる働きがありますよ。
作り方は、鍋に水とコンソメを加えたら、しめじ、ズッキーニ、キャベツ、玉ねぎ、ミニトマト、人参などを加えて煮込みます。最後に豆乳と塩コショウを加え、味を整えたら完成です。
生姜入り!白菜のコンソメスープ
身体を温める作用がある生姜を効かせたスープです。薬味などを上手に活用することで、味にメリハリをつけたり、飽きずに食べることができますよ。
スープの喉越しを良くするために、生姜は形が残らないように絞り汁を加えています。また、風味がしっかり感じられるように生姜汁は最後に加えるのがポイントです。
作り方は鍋に水を加えて白菜、人参、いんげん、大根を煮ます。野菜に火が通ったらコンソメ、塩コショウで味つけし、生姜汁を加えたら完成です。
水菜と大豆の和風スープ
水菜や大豆、鶏肉などを和風だしで煮たスープです。大豆にはたんぱく質や食物繊維が多く含まれているのでダイエット中にとりたい食材ですね。
作り方は、鍋に油を熱し鶏肉、水菜、大豆、人参を炒めてから水を加えてから煮込みます。
とくに、水菜や人参などに含まれているβカロテンは油と一緒に使用すると吸収率が高まりますよ。具材に火が通ったら和風だしで味つけをしたら完成です。
まとめ
ダイエット中に取り入れるスープには、代謝アップや野菜などが多く摂取できるメリットがあります。しかし、塩分の摂りすぎや味つけなどにも注意しないと体重増加に繋がってしまうことも。よって、スープの糖質や脂質の量に注意しながら、上手に食事に取り入れていきましょう。