タンパク質はしっかり摂っているのに、筋トレの効果が上がらない・・・もしかしたら、その原因は糖質不足かもしれません。 糖質は体の大事なエネルギー源であり、筋肉作りに欠かせない栄養素です。 そこで、今回は筋トレと糖質の関係について調べてみました。 糖質は筋トレに不可欠なんとなく悪者扱いされている糖質ですが、実は筋トレにとって大事な栄養素。筋肉はタンパク質だけでは作れず、糖質と協力して作られることは今や常識です。まずは、筋トレにおける「糖質の働き」をおさらいしましょう。糖質は筋肉を守る糖質を制限するとエネルギー源が不足し、体は最終手段として筋肉のタンパク質を分解してエネルギーを作ります。また、糖質は筋肉でグリコーゲンとして貯蔵されますが、これも枯渇してしまいます。つまり、糖質は筋肉のタンパク質とグリコーゲンを守る働きがあるのです。 筋肉にグリコーゲンが十分にあると2つのメリットがあります。 ①筋肉合成の効率が上がる ②運動中の筋肉タンパク質の分解を抑制速筋は糖質利用能力が高い瞬発力を発揮する速筋は、おもに糖質をエネルギー源としています。筋トレで鍛えられる筋肉なので、速筋を動かすために筋トレ前の糖質補給は欠かせません。タンパク質と同時に摂ると筋肉合成アップ運動後、速やかに糖質とタンパク質を摂ると、筋タンパク質の合成が高まります。これは糖質を摂ると分泌されるインスリンの効果(4を参照)。この「速やか」とは、30~45分以内といわれています。インスリンが筋肉合成をバックアップ糖質を摂ると血糖値が上がり、インスリンが分泌されます。このインスリンには、血中の糖を体のあちこちに分散して血糖値を下げる作用がありますが、筋肉に糖を入れる際にアミノ酸も一緒に入れるため、筋肉合成と増強に役立つことがわかっています。 糖質の過剰な制限と摂りすぎは死亡率が高い!糖質は筋トレに役立つ栄養素ですが、摂りすぎると体脂肪が増え、肥満の原因になることも事実。肥満や体脂肪の有効な対策として広く行われるようになった現在では、糖質の過剰な制限と取りすぎは、どちらもリスクがあることがわかってきました。(※炭水化物=糖質+食物繊維)糖質は摂りすぎても死亡率が高まるカナダ・マックマスター大学の研究では、5大陸18カ国で35~70歳の13万5335人を調査したところ「炭水化物摂取量が60.8%以上(エネルギー比)のグループで死亡率が上昇した」ということがわかりました。日本の食事摂取基準ではさらに、日本の厚生労働省による「日本人の食事摂取基準 2020年版」では、炭水化物の適正な摂取量は(エネルギー比)50~65%としています。これら3つのことからわかるのは、現段階でのベストチョイスは 「糖質の一日量は、一日の食事のエネルギー比50~55%にし、60%を超えないようにする」 といえるでしょう。 一日に摂るべき糖質の量は? エネルギー比50%の糖質を摂るということは、一日の全エネルギーの50%を糖質で摂るということです。たとえば、30代男性が一日に食べるべき糖質量を計算してみましょう。 一日のエネルギー摂取基準(kcal)男性女性18~29(歳)2,6502,00030~49(歳)2,7002,050(※一般的な仕事の場合。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」による) ◆糖質1グラムは4kcalなので、このような計算になります。 2700kcal×50%=1350kcal ⇒ 1350kcal÷4kcal=337g ◆糖質337gって何をどれくらい食べればいいの? 代表的な炭水化物の一食当たりの糖質量をまとめました。食事の主食については、これを目安にしてください。 糖質は主食だけでなく、お菓子、果物、野菜、調味料、ドリンクなどにも含まれますので、主食だけで一日の糖質量を摂りきらないように注意しましょう。代表的な炭水化物食品の糖質量食品一食量糖質量(g)白飯軽め1膳(160g)57.0玄米ご飯軽め1膳(160g)54.7オ―トミール(乾燥)大さじ5(30g)17.9食パン6枚切り1枚(60g)25.3フランスパン2切れ(60g)32.9ライ麦パン6枚切り1枚(60g)28.3クロワッサン1個(50g)21.1スパゲッティ(乾燥)乾燥100g67.7うどん(ゆで)ゆで1玉(200g)40.6中華麵(生)生麺1玉(130g)65.4そば(ゆで)ゆで1玉(170g)39.3じゃがいも(生)1個(150g)12.6さつまいも(生)1本(300g)89.1(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版)筋トレの効果を上げる糖質量は?「エネルギー比による適量」に加え、自分のトレーニングとリカバリーに合わせた糖質の適量も計算できます。日本スポーツ協会が採用している糖質摂取量 を下の表にまとめました。一日の糖質量と考え合わせ、適量を決めていくとよいでしょう。トレーニングとリカバリーの違いによる糖質摂取量運動後、すばやく(4時間以内)回復するために1~1.2g/kg体重/時間回復期間が1日の場合 継続時間が中程度で低強度のトレーニング後5~7g/kg体重/日回復期間が1日の場合 中~高強度の持久性運動7~12g/kg体重/日 回復期間が1日の場合 かなりハードな運動(運動時間4~6時間/日以上)10~12 g または12g/kg体重/日以上 (Burke LM,Kiens B,Ivy JL.:Carbohydrates and fat for training and recovery. J Sports Sci.22 (1),pp15-30, 2004.) たとえば、60キロの人が軽いトレーニング後に摂取すべき糖質量 5~7g×60㎏=300~420g/1日 糖質が不足すると脳が働かない 糖質は、筋トレを助けるだけでなく、脳の働きにも大事な栄養素です。体のエネルギー源は、糖質、たんぱく質、脂質の三大栄養素から作られますが、脳のエネルギー源は糖質(ブドウ糖)だけ。糖質が不足すると、脳はエネルギーが枯渇し、ボーっとしたりイライラして集中力が出ません。 これは筋トレにも関係があるといわれ、トレーニングに集中できなかったり、早く疲労感が増すといわれています。脳のためにも糖質をきちんととることが大切です。糖質の代謝にはビタミンBが不可欠最後に、糖質を効率よく代謝するために必要な栄養素についてご紹介しましょう。 糖質を効率よくエネルギーにするためには、おもにビタミンB群が必要で、種類は3つあります。どんな食品に多く含まれているかをみて、まんべんなく食べるようにしましょう。 ■ビタミンB1 豚肉、ハム・ソーセージ、うなぎ、鮭、アーモンド ■ビタミンB2 レバー、魚肉ソーセージ、サバ缶、納豆、チーズ、卵 ■ナイアシン たらこ、まぐろ、かつお、鶏肉、豚肉、レバー、きのこ まとめ糖質は大事な栄養素ですが、制限しすぎても摂りすぎてもリスクがあることがわかりました。 これを機会に、いつも食べているごはん・パン・麺の量を計ってみることをおすすめします。糖質の過不足、ビタミン不足があるようなら 、食事内容を見直していきましょう。 糖質を上手にコントロールして、筋トレの効果をより効果的に行えるのが理想ですね。